EC担当者は、日々の問い合わせ対応に追われながら、CVR改善やカゴ落ち対策にも取り組まなければなりません。
ECサイト向けチャットボットは、この両方を同時に前進させられる数少ない施策です。
本記事では、目的別におすすめのECチャットボット14選を比較し、選び方や導入手順まで解説します。
ECサイト向けチャットボットとは
ECサイト向けチャットボットは、サイトを訪れた顧客の質問にリアルタイムで答えたり、商品選びを後押ししたりする会話形式の接客ツールです。FAQページや問い合わせフォームのように顧客側から探しに行く導線とは違い、疑問を感じたその瞬間に呼びかけられる点が強みです。
ECサイトにチャットボットを導入するメリット
ネットショップでの買い物では、「サイズは合うか」「配送はいつ届くか」「返品はできるか」といったささいな疑問が解消されないまま、カートを離れてしまう顧客が少なくありません。チャットボットがその場で答えを返すことで、離脱を防ぎながら問い合わせ対応の負荷も同時に軽減できます。
その他にも以下のようなメリットがあります。
- 営業時間外でも24時間対応できる
- 問い合わせ件数を削減できる
- サイズ・配送など購入前の不安を解消し離脱を減らせる
- 商品案内・クーポン表示しCVR改善につながる
- 顧客対応品質を平準化できる
ECサイト向けチャットボットの主な機能
ECサイト向けチャットボットの機能は、大きく「サポート業務を効率化するもの」と「購入を後押しするもの」の2系統に分けて考えると整理しやすくなります。搭載機能の数の多さだけで選ぶのではなく、自社に寄せられる問い合わせの傾向と購入導線に、実際に必要な機能かどうかを見極めることが重要です。
| 機能名 | できること |
| FAQ自動応答 | 送料、支払い方法、キャンセルなど、よくある質問に自動で回答する |
| 購入前相談 | サイズ、在庫、用途など、購入前の質問に回答する |
| 注文・配送の案内 | 発送目安や配送状況の確認を支援する |
| キャンペーン案内 | 割引情報やキャンペーンを表示し、購入の後押しにつなげる |
| 有人チャット連携 | 自動回答で解決できない質問を担当者へ引き継ぐ |
| AI応答 | 自然文の質問から意図を判断し、FAQやナレッジをもとに回答する |
| レポート分析 | 問い合わせ内容や解決率を分析し、改善に活用する |
ECサイト向けチャットボットの種類
ECサイト向けチャットボットは、大別するとシナリオ型とAI型の2種類があります。優劣で語れるものではなく、自社の問い合わせ内容、運用にかけられる体制、予算のバランスによって適した方式が変わるという前提で見ていきましょう。
| 項目 | シナリオ型 | AI型 |
| 仕組み | あらかじめ用意した選択肢やFAQに沿って顧客を誘導する | 顧客が入力した自然文から意図を読み取り、関連する回答を提示する |
| 向いているECサイト | 問い合わせ内容が定型化されているサイト | 質問の表現に揺れがある、または商品点数が多いサイト |
| 強み | 回答内容を管理しやすく、誤回答のリスクを抑えられる | 表現の揺れに対応でき、自己解決率を上げやすい |
| 注意点 | 想定外の質問には対応しにくい | FAQ・商品情報・配送や返品交換ルールの整備が回答精度を左右する |
AI型を導入すれば自動で成果が出るわけではありません。質問の表現に揺れがあるECサイトほどAI型の効果が出やすい一方、導入前にFAQや商品情報などのナレッジを整えておくことが精度を左右します。チャットボット全般の種類や選び方をより広く比較したい場合は、チャットボットおすすめ13選比較も参考になります。
ECサイト向けチャットボット14選の比較表
ここでは、ECサイトでの問い合わせ対応、AI接客、CVR改善、有人チャット連携に使えるチャットボットを14サービス比較します。価格は公開情報があるものだけ記載し、非公開のものは問合せとしています。
| サービス名 | 対応方式 | AI対応 | 有人対応 | ECカート連携 | 料金目安 | 強み |
| Zendesk | ハイブリッド | 〇 | 〇 | 〇 | $19〜(年払い) | CS統合 |
| Helpfeel | AI型 | 〇 | 問合せ | 問合せ | 問合せ | 自己解決 |
| GMO即レスAI | AI型 | 〇 | 問合せ | 問合せ | 問合せ | 伴走支援 |
| PKSHA ChatAgent | AI型 | 〇 | 〇 | 問合せ | 問合せ | 問い合わせ削減 |
| Botpress | AI型 | 〇 | 〇 | 〇 | $0〜 | 開発自由度 |
| ChatPlus | ハイブリッド | 〇 | 〇 | △ | 月1,500円〜 | 低コスト |
| MOBI BOT | ハイブリッド | 〇 | 〇 | 問合せ | 問合せ | CS自動化 |
| KARAKURI | AI型 | 〇 | 〇 | 問合せ | 問合せ | CS品質改善 |
| BOTCHAN | AI型 | 〇 | 問合せ | △ | 問合せ | EC接客 |
| チャネルトーク | ハイブリッド | 〇 | 〇 | 〇 | 0円〜 | 有人接客 |
| sinclo | ハイブリッド | △ | 〇 | 問合せ | 月10,000円〜 | Web接客 |
| GENIEE CHAT | シナリオ型(EFO) | 〇 | 〇 | 問合せ | 月6,500円〜/成果報酬型 | EFOでCVR改善 |
| WhatYa | ハイブリッド | 〇 | 〇 | 問合せ | 問合せ | セールス特化接客 |
| ECチャットボット(EC CHATBOT) | シナリオ型(決済EFO) | △ | 問合せ | 〇 | 成果報酬型 | 決済EFO・カゴ落ち対策 |
【目的別】ECサイト向けチャットボットの選び方
サービスを比較する際は、機能一覧から見るよりも、自社の目的から逆算した方が判断が明確になります。ECサイトでは、主に問い合わせ対応の削減と、CVR改善・カゴ落ち対策の2つに分けて考えるとサービスを絞り込みやすくなります。
| タイプ | サービス名 |
| 問い合わせ対応を削減したい場合 | PKSHA ChatAgent、MOBI BOT、KARAKURI、Helpfeel、Zendesk、ChatPlus、GMO即レスAI、Botpress |
| CVR改善・カゴ落ち対策をしたい場合 | BOTCHAN、チャネルトーク、sinclo、GENIEE CHAT、WhatYa、ECチャットボット |
問い合わせ対応を削減したい場合
問い合わせ対応の削減が目的なら、確認すべきはFAQ自動応答の網羅性、配送状況案内の精度、返品交換への対応、そして有人チャットへの切り替えのしやすさです。
配送や支払い、キャンセル、返品交換に関する質問が多いECサイトほど、FAQの整備状況とシナリオ設計の丁寧さがサービス選定の分かれ目になります。
たとえば、PKSHA ChatAgentは曖昧な質問への聞き返しで意図を絞り込む設計になっており、自己解決率が伸び悩んでいる企業に向いています。KARAKURIはFAQと有人対応を一体管理できるため、対応品質を落とさずに件数を抑えたい場合におすすめです。
導入後は、自己解決率・有人切り替え率・問い合わせ削減率をKPIとして追いかけると、効果を客観的に判断しやすくなります。
CVR改善・カゴ落ち対策をしたい場合
一方、CVR改善やカゴ落ち対策が目的なら、商品案内やクーポン提示、購入前の不安解消、チャット型フォーム、EFO機能の有無を軸に見ていきます。
顧客が購入直前でどこにつまずいているのかを洗い出したうえで、チャット上で最後のひと押しができる設計になっているかを確認しましょう。
たとえば、GENIEE CHATは入力フォームをチャット化する「チャットEFO」に加え、かご落ちメールやLINEリマケも標準搭載しています。ECチャットボットは決済直前の離脱にSMSリマインドを送る仕組みで、カゴ落ち再訪率の改善に特化しています。有人接客まで含めて売上を底上げしたい場合は、CRM機能を備えたチャネルトークも検討に値します。
導入後は売上につながるKPI「CVR、フォーム完了率、カゴ落ち率、購入前の問い合わせ件数」などを計測します。
問い合わせ対応削減におすすめのECチャットボット
自己解決率を高めたいならHelpfeel、CS品質と有人対応の両立を重視するならKARAKURIが最初の検討候補になります。ここでは8サービスの特徴を紹介します。
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CVR改善・カゴ落ち対策におすすめのECチャットボット
決済フォームの離脱を直接防ぎたいならECチャットボット(EC CHATBOT)、有人接客まで含めて売上を底上げしたいならチャネルトークが候補になります。ここでは6サービスの特徴を紹介します。
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ECサイト向けチャットボットの導入手順
サービスを選んだ直後にそのまま公開するのではなく、回答のもとになる情報を整理してから、設定・設置・検証という順序で進めると失敗が少なくなります。
導入手順は以下の通りです。
- FAQや商品情報を回答用データとして整理する
- シナリオやAIが参照する回答内容を設定する
- サイトへタグを設置し、必要に応じてECカートと連携する
- 公開前にテスト運用を行い、想定外の質問への挙動を確認する
- 公開後は問い合わせログを継続的にチェックする
- 未回答だった質問をFAQ・シナリオに追加し、精度を高めていく
なかでも欠かせないのが、公開前の想定問答テストです。送料、配送日数、支払い方法、キャンセル、返品交換、商品の仕様など、実際に寄せられそうな質問を一通り試し、正しく答えられるかを検証します。あわせて、回答に詰まったときに有人チャットへ切り替わる動きも確認しておきましょう。
公開してからも作業は続きます。未解決のまま終わった質問や、有人対応に切り替わったやり取りを定期的に洗い出し、回答データへ反映していく運用が前提です。チャットボットは設置した瞬間がゴールではなく、実際の問い合わせをもとに回答を育てていくことで初めて成果につながります。
ECサイト向けチャットボット導入の注意点
チャットボットは設置しただけで成果が出る魔法の箱ではありません。運用を始める前に、想定外の質問が来たときの扱いや連携範囲、効果の測り方まで一通り決めておく必要があります。
導入前に確認しておきたい注意点は下記です。
- 想定外の質問にどう答えるか、あらかじめルール化しておく
- 有人対応へ切り替えるタイミングの基準を決める
- FAQ・回答データを更新する頻度と担当者を決める
- ECカートやCRMと、どこまで連携させるかを確認する
- 問い合わせ件数や自己解決率などの効果測定指標を用意する
- 改善サイクルを回す運用担当者を社内で決めておく
なかでも意識したいのは、すべての問い合わせをチャットボットだけで完結させようとしないことです。配送トラブル、個別性の高い商品相談、クレーム対応などは、やはり人が対応したほうが確実です。自動応答に任せる範囲と、有人対応へ渡す範囲の線引きを事前に決めておきましょう。
注文情報や会員情報と連携できれば利便性は上がりますが、その分、個人情報の取り扱いやアクセス権限の管理も重要になります。チャットボットはあくまで接客窓口の一部であり、回答の品質と運用責任までセットで設計する意識が欠かせません。
